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だから晴火が帰ってきた時…誰より迎えてやれる人間でありたい。
そうして何日かして落ち着いてきたある日の夜…
父親が風呂に入っている間に電話が鳴った。
先に風呂に入った為か少し伸びた髪に滴が滴るので、首にかけたタオルで頭を拭きながら家電に出る。
「はい。もしもし。佐ノ江です」
『あ……』
電話から聞こえた女性は何だか戸惑っているのか、詰まり気味に話してきた。
『……あの…晴火さんの友達の夏世…と言いますけど…お父様ですか?』
「……いえ……晴火の兄です」
電話の向こうで息を飲む気配がした。
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