四季おりおり

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あっという間に冬を越え…春がやって来ていた。 刑期の3ヶ月は短いようで長かったようだ。 あの逮捕されたあの日はまだ冬だったのに、久しぶりに外に足を踏み出すともう桜がピンクの蕾をつけていた。 晴火は刑務所の入り口に立つ警察官に会釈をすると、伸びたセミロングの髪が肩に触れた。 荷物を詰め込んだボストンバッグを手に、まだ少し冷たい春の風をソッと目を閉じて感じる。 春の…風の匂いがした 「晴火」 ボンヤリと久しぶりの外を見つめていると、不意に掛かる声。
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