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椎葉はいつも眠そうにしている目をちょっと大きくして俺をじっと見た。
俺は気恥ずかしさと葛藤しながら椎葉の手を自分から絡める。
「ほら、椎葉の手…俺と同じだ。
だけど椎葉の言うとおり、俺と椎葉は違う所もある。でも、違って何か悪いことでもあるのか?」
腐男子と最強不良。
180度違う人種かもしれないが、俺はそんな関係でいいと思う。
「大事なのは、その…分かり合うことなんじゃないかな…お、お互いがお互いを…」
うひぃぃ自分でもこっ恥ずかしくて説教くさい台詞だと思う。
でも、俺を助けてくれた椎葉を見て、みんなをみて、俺は自分の気持ちを自覚してしまった。
分からないふりをしていたけど、分かったんだよ。椎葉…
「お、お、俺……
椎葉が、椎葉が…
す、す、好………」
俺が、偉そうな言葉で立貴に気持ちを伝えるように促した。
こんなに、勇気のいる言葉だなんてろくに理解もしないで。
立貴の方が例の方言もあることだし、よっぽど俺よりも凄い。
偉そうなことを言った俺が一番、ヘタレでどうする。どうすんだよっ!
椎葉は、俺の言葉を静かに待つ。
心のどこかでこの気持ちがうやむやになっていることに感謝していた。居心地の良さも感じていた。
でも、それじゃ駄目なんだ。
椎葉は、俺の口から明確な答えを望んでいる。
うやむやは結局、逃げにしか繋がらない。
だから…!
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