それぞれの妄想

3/21
8217人が本棚に入れています
本棚に追加
/261ページ
「ハァハァ…や、やっぱり居た。ね、寝てる…!」 ゆっきーずきんは草木の間から木陰ですやすやと眠る狼のしいばを見つけ、変態の目で盗み見しました。 「耳と、しっぽ…!しっぽ…!やっべ萌ええー!」 狼に襲われるはずのゆっきーずきんちゃんは、狼をギラギラした瞳で見つめます。 もっと前で見つめようとしたら、パキリ、と足元の枝を折ってしまいました。 ぴくりと眉を動かした狼は、俊敏に目の前にいたゆっきーずきんを捕まえると、そのまま抱き込んでしまいました。 「ふわわっ、し、しいば!」 「………。」 寝ています。 おばあちゃんの家にいかなければ、お話は進みません。 どうしようかと思案していると、ピンクの寝巻きを着た、だいちおばあちゃんがやってきました。 「オイコラ、カモ!てめ、おっせぇよ!いつまで俺にこの格好させるつもりだ!」 寝巻きはジャージ派なんだよっ!と、童話設定そっちのけで喚き立てます。 しかしだいちおばあちゃんは狼のしいばが不機嫌に眉をひそめ、起き上がったのを見て顔が真っ青になっていきました。 「るせぇ…ぶっ殺すぞ。」 口の中にチラリと見えた牙に、だいちおばあちゃんは静かに散歩に行くことを決意し、ゆっきーずきんちゃんは相変わらず萌えていました。 もうこの話童話パロでも何でもねーよ、と突っ込みをいれてくれる人はどこにもいません。
/261ページ

最初のコメントを投稿しよう!