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返事をしようとして口を開きかけたとき、開いていた窓からサッカーボールが飛び込もうとしていたので、彼女の腕を引っ張った。 ボールは直前まで彼女のいた場所を通過して、保健室の窓ガラスにぶつかり、数回小さく跳ねたあと、転がっていった。 「大丈夫」 「うん、私は」 保健室の窓が開いて藤沢先生が顔を出した。 「君ら、なにしてるの」 彼女は俺を突き飛ばすと、顔をさらに赤らめて、困惑してあたふたしている。 「な、なんでもないです」 そう言って、教室の方へと走っていってしまった。
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