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「てか飯! 飯食おうぜ!!」
始はいきなり話題を転換し、待ちきれない、といった様子だった。
昼休みになったから皆、腹が減ってくる時間だろう。
すると凰がいつものように軽快に口を開く。
「じゃあ、屋上行こうぜ?」
「そうだな、行くか」
おれと凰は弁当を持ち、屋上に向かおうとしたが、
「おい、ちょっと待ってくれよ。パソコンを持ってくからさ!」
少し焦った始に止められた。
え……何こいつだる。
まじダルビッシュ!
「あぁ、わかった。凰行こうぜ」
待つはずないだろう?
歩き始め、屋上に向かう。
「わかってないじゃん!! ちょ、待って! 待てぇ~い!」
何か時代劇風な掛け声が聞こえたが、そんなこと無視しておれは屋上に歩を進める。
階段近くの廊下を通りかかった時、ドン! と走ってきた女の子とぶつかった。
おれはそれにより少し後ろにのけ反りバランスを崩してしまう。
そして相手も横にそれて壁にぶつかってしまった。
「……と、ゴメン。大丈夫?」
おれは恐る恐る、と言った感じで話しかけた。
だって女の子怖いし。好きだけど。
すると、女の子は顔を伏せたまま冷めた声を向けて来た。
「……なんでこんなとこ立ってんの。神崎、ゴミより邪魔」
……へ?
酷! でもこんなことをおれに言う奴って……?
もしかして……。
女の子は寄り掛かっている形になっていた壁から体を起こした。
「最悪。体消毒しなきゃ。汚物に触れちゃった」
ニヤリ、とこちらを見て不適に笑う女の子――佐藤莉緒(りお)ちゃん。
セミロングでさらさらした黒髪。
子供のようにクリッとした可愛い目に、控えめにぷっくりとして健康的な唇。
身長は少し低く、百五十センチ半程度でかなり細く、ベストの上からでもわかる大きな胸。
多分、Cカップ。
可愛らしい顔の癖に、表情はどことなく冷めている。
この子は始の妹だ。
始ん家に行くとよく遊ばれ、中学では同じ部活だった年下の女の子。
かなり仲はいいが、あちらは見ての通り毒舌&ドS。
おれは少々女の子に対してはMだが、この子は度が過ぎている。
だから許容範囲オーバー。かなり怖い。
トラウマを何個か植え付けられたし。
まぁ……仲は悪くない。今の言葉も彼女なりのスキンシップだ。
訳すと「ぶつかってゴメン神崎、久しぶり」って感じ。
かなり遊んでいたからわかる。
性格がねじ曲がってるから、半分以上は無理だが。
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