おれの学校生活

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「ま、神崎のことはいいとして柳瀬、神崎。お兄ちゃん知らない?」 え? 始? なんで始探してんだ? 「あぁ、教室にいると思うけど」 おれに代わり凰が若干顔を引き攣(つ)らせながらも答える。 凰は莉緒ちゃんのことをそこまでよく知らない。 まぁ、確かに遊ぶことはあるのだがおれ程ではないのだ。 だがこれは、緊張してるのではなく、遠慮してるのだ。 「そか、ありがと柳瀬」 感謝の意を示すと、また莉緒ちゃんは走り出した。 先程は気付かなかったが、その手には弁当らしき物を持っていた。 ……始、弁当忘れたのかな? 「まぁ、いいか。行こうぜ凰」 「OKだ」 屋上には、すでに先客がいた。 入口から一番離れている場所で一人、じっとしている長い髪の女の子がいる。 まあ、おれ達には関係ないので、入口付近の影で座りこんだ。 座った時にふと女の子をチラ見してみたら目があってしまう。 その時、ゾクッと。 蛇に睨まれた様な悪寒がした。 そして女の子はすぐに目を離す。 「はぁ」 離された瞬間、巻き付いていた悪寒が全て取っ払われた気がした。 それはテスト後の解放感に似てるかもしれない。 「どうしたんだよ。溜息なんかついて」 「いや、なんでもない」 凰が心配そうな顔で聞く。 おれの答えはもちろん嘘だ。 心配させたくないし、こいつらにコレ以上迷惑かけたくない。 「なんでもねぇのかよ! ……てか始おせぇな」 そこからは普通の会話だった。 「何やってんだあいつ。言い出したのあいつなのに。もう弁当食っちゃおうぜ」 莉緒ちゃんに弁当もらったとしてもすぐに来れるだろ。何やってんだマジで。 「ああ」 おれ達はそういうやり取りをすると、弁当を口に掻っ込み始めた。 そしておれ達が弁当を食べ始めて数分たったころ、始とおぼしき人物が騒がしい声と共に屋上のドア勢いよく開け放った。
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