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「つーか、次の授業何?」
「んー、あぁ、数Bだな」
おれが聞くと凰が簡単に答えてくれた。
数学……テラ苦手ッス。
「水月ちゃん、当てられないといいな」
ニヤニヤしながら皮肉を込めてそんなことを言う始。
全然思ってないだろコイツ。
ま、当てられないだろ。
昨日当たったし。
「じゃあ~、ここ神崎。答えろ」
当てられた。
ちょ、おい。まて。
昨日当てたよね? やめて? つか、おれが答えられないの知ってるよね、先生。
おい! そこニヤニヤすんな!
始もドヤ顔すんな!
つーか先公!! お前もニヤニヤすんな!
「どうした神崎? この程度もわからないのか? 勉強が足りないんじゃないのか?」
ニヤニヤニヤニヤ。
うっぜぇ! コイツうっぜっ!
「先生、少し待って下さい。あと少しで解けそうな気がします」
先生達の鼻を明かそうと思い、咄嗟にそんなことを言うが、もちろんわからない。
答えの検討もつかない。
問題は、
→ →
|a|=2、|b|=3、θ=120°
→ → → →
a・b=|a||b|cosθ
の内積とか意味不明物質を答えるらしい。
あれ? これ日本語で書かれてる? 解析不可能なんだが。
もう教科書先生にぶん投げたいんだが。
「神崎、まだか?」
痺れを切らした先生が言った。
少しイライラしてるのか、チョークで黒板を叩いている。
「あと少しです!」
嘘だが何か?
そう思った時、ブー! ブー! と制服のポケットからケータイの振動音が聞こえてきた。
おれはすぐ、先生にばれない様に確認する。
二件同時に着信したようで、一件目は始。
『フヒヒ。結局当てられてるジャマイカ水月ちゃん。こんな基礎問題にも答えられないのはダメダメだぜ。で――』
うん、延々と嫌味が書いてあるだけだから割愛する。
何アイツ、暇なの?
二件目は凰。
『答えは-3。明日からはちゃんと勉強しとけよ』
簡潔な文。
始とは大違いだ。
さすがは凰。主人公体質さすが!
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