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『爺ちゃ…』
夕刻になってもタイラの墓の隣に座り、タイラとの思い出に浸っている。
ふと眺めた先から近づく人影にタオは驚き立ち上がた。
『遅くなってすまない…タイラ爺の最期は苦しまなかったか?』
タイラの墓に申し訳なさそうに語りかけ、青年は屈み墓に花を沿えタオに話しかけた。
『爺ちゃなら解ってくれますから謝らないでください…マカミ様。うん、苦しむ事なく安らかなものでした』
タオは改まった口調で話すと深々とお辞儀をする。
"マカミ"とは長になった先祖返りの者をそう呼ぶ、タイラが生前に教育係を任せされていた時がこの青年でタイラを師と慕い付き合いは家族ぐるみで有った。
『そうか、お前さんに看取られてタイラ爺も幸せだっただろう』
タイラの墓に手を合わせ立ち上がるとタオに視線を移す、いつものタオを知っているマカミは彼女の変貌に顔をしかめる。
『…そうだといいです…』
視線を感じながらもマカミの顔をまともに見れず俯いているとしばしの沈黙が現れる。
風が吹き木が揺れる音が流れ、マカミは溜息を零し沈黙を消す。
『…想像してみろ、お前さんらしくないとタイラ爺が心配して帰ってくるやもしれんぞ?』
思いもしない言葉に言われるまま想像したタオは吹きだし笑って答える。
『あは、爺ちゃなら有り得るかもしれませんよ~…マカミ様』
『であろう?…やっと笑ったな…』
マカミはタオの笑みを見ると釣られるようにニカリと笑う、するとタオは気付いた。
『Σ!?…すっすみません!…マカミ様…あ、ありがとうございます///』
慌てて礼を言いマカミに向けて礼をすると手で気にするなとあしらわれ、慰められる。
『いや、同じ師を持つ者のよしみとお前さんを頼むとタイラ爺にお願いされてしまったものでな…これからの事は私が見てやる』
いつの間にそんな話をしていたのかと改めてしらされるタイラの凄さにびっくりを通り越して飽きれる。
『はぁ…爺ちゃ…マカミ様とこにお願いしたんですかぁ…ご迷惑にならないようにします!!』
自分なりに言葉を選んだつもりだったがマカミは眉を潜め頭を叩かれてしまう。
『迷惑?…気にするな。それにタイラ爺から聞いているが…ゲフテトに行くんだったな?』
"ゲフテト"とはここ、狗族の里があるアトリアから海を遥か越えた大陸で闇に属するモノが多く住むと言われている。
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