止むを得ず

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「…探したいなら探せばいい」 「一昨日、起きたら、いなくなってた…。 バクーレスは、ずっとタックを探していたみたいだ。 タックに金を貸している、卵の代金をもらってないって」 「あああ…」 議論は終了だ。 その手の輩に関われば、今度は私が新たな返済人にされるだけだろう。 人でなしに拾われたのが、彼の運のツキだ。 「失礼いたします。 お茶をお持ちしました」 メイド2人が銀食器のワゴンを運んできた。 思いがけない他人の出現が痛い。 私はソファーから立ち上がると、壁の暖炉に寄った。 日頃この部屋で行われるだろう会談の記録係が使うペンと紙をとる。 「…すみません、これを大臣に」 メイドに書き付けを渡すと、私はマーズを引っ張り部屋を足早に出た。 「……魔斑蛾の卵が生み付けられ間もない状態の実験体は非常に珍しく、しかれば学園にて研究すべく引き取らせていただく所存です。よろしくご了解のほど。 ガルトブルグ7番警備士 ガレス総長13番直弟子 アリスン=ファング」 大臣は書き付けからチラリと目線をあげた。 痩せた顎髭の初老の商人は怒りに震え、彼の手代たちは右往左往していた。
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