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『ふぅん……?』
――どうでも良さそうだな、突っ込んだ割に。
ちらりと窺えばその目はこちらを映していない。
琥珀色の液体を嚥下する喉の動きをぼんやりと眺めて。
酔いが回ってきたのか、ほのかに熱くなる頬を自覚しながら。
当たり前か、とも思う。
他人事だし。
自分が相手でも同じ反応を返す気がする。
『……“今”は違うの?』
『ん?』
終わった気になってグラスに口を付けたら、また隣から声がした。
……あの子、遅いな。
『“今は”恋愛する気、あるんだ?』
『んー…多分。』
『“多分”?』
訝しげな声。
目を向ければ眉を僅かに潜めて、見つめる相手。
『寂しいな、とは思うけど……やっぱりめんどくさい気もする。』
『勝手だね。』
『うん、自覚はある。』
ますます相手の眉間に皺が寄る。
かと思えばそれがふっ、と緩んで、視線は再びグラスの上。
『だってわかんないし、疲れそうだし。
私のテンションで恋愛できるのか?、とも思うし。』
『“テンション”?』
『夢中になれればいいけど、なれなかったら虚しくない?
……相手にも悪いし。』
『へぇ…?
自分勝手な割に一応、そういう事は考えるんだ。』
『だって、こっちだけでも、あっちだけでも満たされないでしょ?
それって、“独り”でいるのと変わらないじゃん。
一緒に居るなら笑ってて欲しいし、満たされて欲しい。
寂しい想いは嫌だよ、――自分が嫌なのに。』
『……。』
外れた視線が戻ってきて、まじまじと見られる。
妙に気恥ずかしい…というか、喋りすぎた。
色々と、変な事。
何語っちゃってるんだ、自分。
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