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何時までも降り続く雨
時折、稲光が起きる。
「よく、降るわね」
そんな雨をガラス越しに眺めるのは、シュークリームを食べながらのんびりとしている雪。
「今回の台風は随分と強いようですよ。何せ秋の台風ですから………」
セバスチャンは珍しくネックの着いた黒服に、オシャレとしてあいたジーンズ姿で、洗濯物を洗っていた。
「 秋………かぁ。秋の行事って、栗拾いに梨刈、って所よねぇ~……
あ~、栗ご飯、クリキントン、栗ムシ……いいなぁ~」
頬に生クリームを付けながら、うっとり自分の世界に行く雪
そんな雪を見て、セバスチャンは一言
「 最近。少し太りましたよね (ボソッ) 」
「 (グサッ)……セバスチャンは前にも増して腹黒くなったわね……… 」
手元のコップを握り締めながら、雪は顔が真っ赤になる
「クスス そう言えば、近々栗刈があるとか………
行きましょうか?」
「………。別に行きたい訳じゃ」
「では、予約を入れておきましょう。
楽しみですね………栗刈」
「 フン!別に 」
完全に臍を曲げた雪に、セバスチャンは笑いながら機嫌をとる
そんな二人の姿を、上空から見下ろす者がいた。
「 ああ。やっと……やっと見つけた。
我輩の“母”そして………
我輩の“妻”となる愛おしい人」
その時、空から雷がなり一瞬辺りが明るくなる
上空にたたずまう男の姿がハッキリと見え、顔に笑みを浮かべながら消えた。
「 ピクン! 」
セバスチャンが視線を空に向けた時には消えていた。
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