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20XX年
中東で第二次湾岸戦争が勃発をした。
昨年に成立された自衛隊海外派遣法とも呼ばれる海外協力法に基づきアメリカを中心とした連合軍に日本政府は陸上、海上、航空の自衛官を派遣させる事を決めた。
国内は反戦、反武装の世論の中、中東派遣部隊は出動をしていったのだった。
部隊が中東に到着をして二週間が過ぎていた。
昼間は日本の夏とは比べようもない暑さの反面、夜は寒さに震える過酷な砂漠地帯に陸上自衛隊中東派遣部隊の駐屯基地があった。
遠くからは米軍の砲撃音が聞こえる駐屯基地のゲートには2人の隊員が立っている。
「藤原、シャッキとせんか!ここは戦場だぞ!」
「最前線から遠く離れた戦場ですよね班長。自分ら何を警戒するんすか。目の前の砂ですかね」
「馬鹿野郎!敵が攻めて来るかもしれないだろうが!」
若い隊員たちの緊迫感の無さには班長と呼ばれた増田を悩ます事であった。
だが、増田はこのまま戦闘に介入する事もなく部下達が無事に任期を終え帰国するのを祈ってはいた。
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