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その城は切り立った山岳と豊かな森に囲まれた田園風景の中にあった。
その城下町に一騎の騎馬が白い城、町の人々が白鷺の城と親しみを込め呼ぶ城に向かって駆けていく。
それを観た人々は騎士のただならぬ気配に驚き、皆、思い思いをしゃべっりながらも騎士を見届けた。
「我は国境守護隊のスタンス。至急陛下にお目通りをお願いしたい」城の中庭まで駈け付けたスタンスは馬から降りながら言った。
「騎士様、陛下は謁見の間に居られますわ」城に仕える女中が気配に半ば、脅えながら応えた。
スタンスは謁見の間に入ると兜をとり王の前に進む。
「陛下、申し上げます。国境に帝国騎士団が攻めて参りました。守護隊は応戦をしていますが、援軍をお願い致します」
方膝を床に付けながらスタンスは頭を傾ける。
そのスタンスの報告に王の周りの騎士やローブを羽織った者たちがどよめく。
「誠に、誠に帝国が・・・」玉座の王は驚愕しながら言った。
ローブを羽織った一団の中にいる一人が王の前に進む。
「陛下に申し上げます。ビッシュの騎馬隊を派遣してはいかがでしょうか?」
「うむ。ビッシュをこれに」
王は玉座から立ち上がるとスタンスに近く。
「スタンスよ。ご苦労であった。貴君は休みたまえ」
「有り難い御言葉。ですが私は守護隊の皆に約束をして参りました。必ず援軍を引き連れ戻ると。陛下、お願いです。私もビッシュ様の隊に加えて下さいませ」
スタンスはひれ伏しながら言った。
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