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農村が炎に包まていた。
逃げ惑う村人達。それを中世ヨーロッパ時代のような鎧を着た騎士たちが馬で追いかける。
農民の1人が転ぶ。
槍を掲げた騎士が近づいた。
「助けて下さいませ!助けて下さい!」農民が再び立ち上がりながら叫ぶ。
「皇帝陛下の命だ」騎士は冷酷に言った。
騎士は槍を高々と持ち上げ農民に振り下ろす。
「ハッ!夢、夢なのか・・・」
中東派遣部隊基地の簡易ベッドの上で白石は飛び起きた。
「また、あの夢か」ここ、数週間繰り返し観ている夢を思い出しながら白石は額にべったりと張りついた汗を拭いながら言った。
そこにドアがノックをされた。
「岡田、入ります」
「よし、入れ」
「一尉殿、おかげんでも悪いのですか?顔色が悪いようですが」
「大丈夫だ。それより、何か?」
「オヤジが呼んでいます。団長室にお越し下さい」
「了解した。オヤジはいったい何の用かな」
「詳しくは解りませんが、多分、合同演習の事かと思いますが」岡田二尉はそう言うと笑みを浮かべた。
団長室に向かう途中で白石は島一尉に会った。
「島、オヤジに呼ばれたか」
「お前もか」
2人は一緒に団長室に向かう。
「今夜の合同演習の事か」と言うと島はにやりと笑う。
「だろうな。うちの班は高揚している。二班はどうだ。聞くまでも無いな、お前を見れば」
「うちの連中も興奮をしてはいる。焦り過ぎてミスをしなけ良いのだが。だが、残念だよ。俺達の活躍が公にされる事はないのだからな」
島は立ち止まり白石の顔をみた。
「それは本心ではなかろう。お前も俺も国と国民達を護れるならそれで良い」
白石も島の顔を観ながら言った。
2人は黙ったまま頷き合い歩き出した。
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