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何かがおかしい。
いつまでたってもアスファルトの御堅い地面様とご対面しないし、体勢が崩れない。
飛び降りたまま足が下を向いたままで堕ちつづける。
すると突然体が横を向き、柔らかい何かに包まれた後に、微かな振動が伝わった。
目を開けると(無意識に目を閉じていた)、目の前にはアランの美しい顔のどアップが。
俗に言うお姫様抱っこでアランに抱えられていて、地面に着地していた。
梓「な…な、な、なぁあ!?」
アタフタと暴れると優しくおろしてくれた。
アラン「だって、アリス着地の仕方知らないでしょう?慣れてないと死んじゃうんだよ?」
当たり前だとでもいうような顔をして、こちらを見ていた。
梓(だから、アンタのその顔のせいで余計寿命が縮んだわよ)
火照った顔を手で仰ぎながら、ため息をついた。
梓「で?ここはどこなのよ…」
自宅のマンションの10階から飛び降りたにもかかわらず、周りを見渡しても知らない場所だった。
アラン「ここは僕とアリスの故郷になる『不思議の国のアリス』の世界さ。唯一、戦地には絶対にならない不可侵の地なんだ。」
?????
梓の頭の中には?でいっぱいになった。
梓「不思議の国のアリスの世界って何?」
アランに尋ねたが彼は銀時計を見ていて…。
アラン「大変っ!遅刻だ!女王陛下のお茶会に遅れちゃう!!そうなったら僕もアリスも首が飛んじゃうよ。」
そう言って梓の手を…もとい、腕をものすごい強さで引っ張り、素晴らしい速さでかけて行った。
目の前にそびえたつ、真っ赤に染まる美しくも血に飢えたような城へ向かって。
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