無印~推理編~

2/2
前へ
/2ページ
次へ
「無い、無い!」 ロキは慌てていた。 「師匠、無いんです!俺、今日誕生日、なのに」 「…無いはずはないだろう」 めったに慌てないロキのあわてぶりを見て、師匠も少し動揺している。 「本当に無いのか」 「ねぇっつってんだろ!」 ロキは今日の日を心待ちにしていた。今日の日のために、いかなる努力も重ねてきた。 なのに。 「何で、無いんだ…」 師匠が呻く。 「ちっわかんねえのかよ」 舌打ちしたロキは自分の右手の甲を、じっと見つめる。 ここには、あるはずのものが無かった。 それは『しるし』である。 しるしによっては騎士になれちゃったり、パン屋さんになれちゃったりする国民が全員もつしるし。 「なぜだ…オレは騎士になるために今まで頑張ってきたのに…何でやねん…」 しかしロキ、そこでめげるようなヤツではない。 「おかしい…神から与えられるはずのしるしが無いなんて…状況を整理しよう。オレは今日15歳の誕生日だった。15歳の誕生日には神からしるしが付与される。 まさか…今日が誕生日じゃなかったのか?」 「残念ながら今日だ。親御さんから戸籍謄本を預かっている。」と師匠。あえなく撃沈。 「ということは…何者かがしるしを奪った?いや、魔法使いにはその力は無いはず。だとすると容疑者はただ一人… 神だ」 「神がどうしたというんだ、ロキ」 「わかったぜ師匠、神が俺のしるしを奪ったんだ!真実はいつもひとつ!」 『解けたのだな、ロキ』 「なっ…師匠?」 『私だ』 師匠が、脱いだ。 黒タイツ。 「お前、神だったのか、全く気づかなかった」 『騙されたようだな』 「んでも良いんだよ、さっさとしるしよこせ!」 『△κηна§☆¥£#*▲※ΥΨ…』 「ぐわあぁぁぁ!」 哀れロキは世界から永久追放されてしまいましたとさ☆
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加