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「無い、無い!」
ロキは慌てていた。
「師匠、無いんです!俺、今日誕生日、なのに」
「…無いはずはないだろう」
めったに慌てないロキのあわてぶりを見て、師匠も少し動揺している。
「本当に無いのか」
「ねぇっつってんだろ!」
ロキは今日の日を心待ちにしていた。今日の日のために、いかなる努力も重ねてきた。
なのに。
「何で、無いんだ…」
師匠が呻く。
「ちっわかんねえのかよ」
舌打ちしたロキは自分の右手の甲を、じっと見つめる。
ここには、あるはずのものが無かった。
それは『しるし』である。
しるしによっては騎士になれちゃったり、パン屋さんになれちゃったりする国民が全員もつしるし。
「なぜだ…オレは騎士になるために今まで頑張ってきたのに…何でやねん…」
しかしロキ、そこでめげるようなヤツではない。
「おかしい…神から与えられるはずのしるしが無いなんて…状況を整理しよう。オレは今日15歳の誕生日だった。15歳の誕生日には神からしるしが付与される。
まさか…今日が誕生日じゃなかったのか?」
「残念ながら今日だ。親御さんから戸籍謄本を預かっている。」と師匠。あえなく撃沈。
「ということは…何者かがしるしを奪った?いや、魔法使いにはその力は無いはず。だとすると容疑者はただ一人…
神だ」
「神がどうしたというんだ、ロキ」
「わかったぜ師匠、神が俺のしるしを奪ったんだ!真実はいつもひとつ!」
『解けたのだな、ロキ』
「なっ…師匠?」
『私だ』
師匠が、脱いだ。
黒タイツ。
「お前、神だったのか、全く気づかなかった」
『騙されたようだな』
「んでも良いんだよ、さっさとしるしよこせ!」
『△κηна§☆¥£#*▲※ΥΨ…』
「ぐわあぁぁぁ!」
哀れロキは世界から永久追放されてしまいましたとさ☆
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