桜の下で…

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『斎藤さん起きてますか?お茶を持って来ました』 私はお茶を持って斎藤さんの部屋に来た。 『あぁ…すまない…』 『大丈夫です。今日は非番ですか?』 『そうだが…どうした?』 『いえ、机に向かわれてたので…』 『………』 彼は斎藤一さん、雨の中屯所の前で倒れていた私を助けてくれた人…。そして私の想い人…。 この想いは、彼には言えない… 『斎藤さん、あの…書き物が終わったら一緒に…出かけませんか?』 『…別に構わぬが…』 良かったとホッとするが、緊張と不安で心臓が煽り始めた…。 『では、部屋に居ますので終わったらお声を掛けて下さい。』 『…承知した』 パタンと襖を閉めて、部屋に向かう…。すると 『どうしたの?なんか嬉しい事でもあった?』 後ろから、声がした。振り返れば沖田さんが居た。 『いいえ…あの…その……』 沖田さんは、私が斎藤さんを想っている事を知っている、沖田さんが言うに私は分かりやすいらしい。 『…斎藤さんと出かける約束をしました………』 そう言った今の私の顔は、赤いだろう…耳が熱い…。 『ふーん。良かったね』 と口は笑っていたが、目が冷たい沖田さん…。大方、私が斎藤さんと出かけるのが気に入らないのだろう…。最近、斎藤さん絡みの話しで私を虐めるのが、楽しみだと沖田さんに言われたからだ… 『なんですか沖田さん、その詰まらなそうな顔は…』 『えっ?嫌だなぁ、詰まらなくなんか無いよ!』 (だから目が笑って無いってば!)と心の中で呟く…。今の沖田さん相当、機嫌悪そう…玩具を取り上げられた子供の様に、タダをこねそうな顔をしている。早くこの場を去りたい… 『今日は出かけるので、お話出来ないです!また明日お話しましょう!!』 私は逃げる様に言葉を発した。 すると… 『明日絶対結果教えてね、じゃないと君、殺しちゃうよ!』 背中に悪寒を感じ『分かりました』と言いながら、その場を後にした。 部屋に戻り軽く身支度をした。すると、カシャン…。と髪飾りが落ちた…。(嫌な予感がする…)そう思っていると… 『…千春、居るか?』 斎藤さんが書き物が終わって、部屋を尋ねてきた。 『はい!今行きます。』 そんな予感も忘れて私は、襖を開けて外に向かう…。
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