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その時、私の中で走馬灯の様に記憶が蘇る…
『……か………ま…』
『変若水とやらだったか、幕府が研究しているのは、千春はその研究材料、鬼の血を引きながらも鬼になれないそいつから、変若水が研究されたのだ』
無くした記憶が風間の口によって蘇る…思い出したくない…消したい記憶……
『…………やめ……』
私の鼓動は段々早くなり、何かが音を立てずにキレた…。
『……風間ぁぁぁぁ!』
私の身体は急に熱くなり風間に襲い掛かろうとしていた
『やめろ!千春!』
斎藤さんの言葉も耳に入らず前に…ただ沸き上がる怒りと哀しみに、身を任せていた!
『ほう、思い出したか。その姿はまさに鬼…滑稽だな…。だが俺には勝てぬ』
風間の一降りで、私は後ろに飛ばされた…すると水溜まりに、自分の姿が映る……
黒い髪は白銀になり、茶色の瞳は金になっていた…
『千春!!』
後ろから斎藤さんの声がする…だけど私は、振り替えれない。振り替えれば嫌われそうな気がした…。
『…大丈夫か千春…危ないから下がっていろ!』
斎藤さんの手が、私の肩を叩く…そのいつもの変わらぬ手に安心したのか、私の意識がそこで途切れた……
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