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…何故、俺は彼女の気持ちに気付いてやれなかったのか…
居なくなって初めて、気付いた自分気持ち…
涙の後が残る手紙…
彼女は泣いていたのだ…
探している間、彼女の泣いている顔が頭から離れない…
今更、悔やんでも遅いと分かっていても、彼女を思う…
この気持ちは嘘では無い…
『一くん、どうし…』
総司と途中会うが、彼女を探すのに必死だった俺は総司を無視した。俺の様子に気付き、総司は彼女の部屋に向かった…
屯所の何処にもいない…
彼女は何処に行ったのか…
いつも一緒に居て、隣に居たのに俺は、彼女について何も知らなかった…。
増してや自分の彼女に対する気持ちも、今頃確信するなんて。自分に腹が立つ…
『おい!斎藤どうしたんだ?』
戻りが遅い俺に、副長が話し掛けた…
『…千春が『土方さんこれ』』
俺が話すやいなや総司が、部屋で見つけた手紙を、副長に渡す…
『…斎藤…お前…これは!』
『俺の不注意で…すい『馬鹿野郎!!早く探しに行かねぇか!』
『ですが…副長』
『彼女の事が心配なんだろ?お前の行動見てりゃあわかるさ、いつも冷静なお前が眉しかめて、顔には心配って書いてあるぞ』
『………』
『…斎藤!副長命令だ、絶対に彼女を探しだせ、そしてお前の気持ちも伝えてこい!良いな?』
『でも…俺は!』
『良いから探しに行け、皆には俺が話す。それから総司!今の手紙の内容は忘れとけ!!』
『……分かりました』
『はいはい、分かりましたよ』
俺は直ぐさまその場を後にした…
彼女の身に何もなければ良いが…風間の話しだと、きっと奴も彼女が必要なはずだ…
風間の所に行く前に…
そう考えると心臓が押し潰されそうだった…。
…彼女は何処に行った…
頼むから己から命を絶つ事だけは止めてくれ…
俺は必死に探した、彼女の姿を確認したくて。
…いつも側に居た
だからこそ、彼女の気持ちに気付いてやれなかった…俺の中で側に居て、近くに居るのが当たり前だと、夫婦になる事を約束した訳でもないのに…俺は…
『…彼女を好いている…のだ…な…』
そう呟き、俺は最後の望みを賭け丘を登る…彼女が教えてくれた枝垂れ桜の咲く場所へ…
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