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不良どもが、死神に出会っちまったような顔で俺を見ている。
「おっおい……コイツ何かヤバくね?」
「須本……須本……あっ! コイツってもしかして元条北中の須本咲良(サクラ)!?」
「知ってるのか?」
「ワルの集まりで有名な条北中で、『狂い咲きの咲良』って一目置かれてた奴だ。メチャクチャ喧嘩つええクセに普段は喧嘩は買わない。でも、ダチがやられたりしてブチ切れると誰も止められないって……」
「あっオレ、ちっと用があるんだった!!」
「おれも!」
俺を殴っていた二人が、逃げるようにドアから出ていった。
まさか、俺の中学時代を知ってる奴がいるとはな。静かな高校生活を送ろうと、わざわざこんな遠い高校に編入したってのに。
「ようやく一対一になれたなぁ? 金髪野郎」
「なっ……ナメやがって……」
金髪がナイフを右手に持ちかえ、俺に向ける。
「芸がねえなぁ、金髪君。そんなんじゃ読者が飽きちまうぜ?」
「ブッ殺す!!」
金髪が距離を詰めてくる。
振り上げてくるか。
突いてくるか。
突き。狙いは俺の腹。
突きは、より相手にダメージを与える。どうやら、マジで切れたらしい。
だが、軌道を読みやすい。
「よっ」
俺は金髪をギリギリまで引き付け、寸前で身体をひねる。ナイフは俺の腹の正面をかすめ、空を切った。
そして、ナイフを持つ金髪の手首を両手で掴み、金髪に背を向けた格好になる。
そのまま金髪の腕をねじりながら持ち上げ、自分の肩に打ち付けた。
「うぐぁ」
金髪の手からナイフが落ちる。
「ヒャハッ!!」
俺は手首を離さず金髪の背後に回り込み、背中の上でぐいぐいと手首を締め上げた。
金髪が涙声で叫ぶ。
「かっ勘弁してくれっ! 肩が外れちまう!!」
「安心しろ。外れたらまた入れてやるから」
「まぁ……俺がやると、外れた時より入れる時の方が何倍もイテェけどな」
さらに締め上げようと、力を込めた時。
「わっ悪かったよ!!」
「あんだって?」
俺は志村けん風に返す。
「だから……お前のダチの悪口言って悪かったって!!」
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