6人が本棚に入れています
本棚に追加
H教授は70も半ば
越したと思われる
痩身の人物で
最初の挨拶から
漠として掴み所のない
と言う印象を持ったが
話しているあいだに
その印象は ますます
深まった
殺風景な診察室で
患者の座る丸椅子に
腰掛けて
甚だ居心地の悪い思い
をしながら
教授の話を聞いた
教授はプラスチックの
物差しを弄びながら
出来の悪い生徒に
改心を促す主任指導
といった風情で
「水晶症」に
ついて説明した
最初のコメントを投稿しよう!