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ツンデレがデレデレになるのも間近だな。
『ちゃ、ちゃんと約束の時間までに来なさいよ! 遅れたりしたら許さないだか――』
「せめてイヤホンしてプレイしろっ!」
ツンデレな小雪の声を遮って、そんな無粋な声がした。
ついでに後頭部を叩かれた。
更に小雪を奪われて、あろうことかその命までもが奪われた。
んなぁぁああぁあ!!
声にならない絶叫が僕の中に響き渡る。
小雪が……小雪がぁ!
「たく……啓介、いつまでもゲームしてんなよ。もうすぐ始業式だぞ」
「き、きき……」
「き、きき? おいおい、日本語を話せよ啓介」
「貴様ぁぁぁああ!!」
続いて教室内に僕の怒声が響き渡る。
必然的に注目を浴びる僕と小雪を奪った犯人。
犯人は、昔からよく知る顔をしていた。
「ちょっ! 落ち着けよ馬鹿――!」
「お前……よくも、よくも小雪を!」
僕は犯人の首をギリギリと締め上げていく。
待っていろ、小雪! 必ず仇をとる!
犯人の顔が青ざめていく。
もうすぐ、もうすぐだ――!
「離せ馬鹿啓介ぇぇえ!」
ゴンっっっ! という鈍い音が響き、静まり返る教室。
犯人の拳が僕の脳天に突き刺さっていた。
悶絶。
「んなぁぁあ!痛い、痛いぞ!?」
「当たり前だ! 友人を殺しかけるお前にはびっくりだよ!」
犯人は軽く咳込みながらまくし立てた。
こ、こいつ! 先に小雪を奪ったのはそっちだろう!
「お前が、お前が小雪を……」
「たかがゲーム機取り上げただけで殺されかけたのか俺は!?」
真実に驚愕している犯人の名は東雲晃。
僕の友人を名乗る変態だ。
性格もいいし、常識もある。
背は高い方だし、見た目も爽やか。
誰を差別するでもない態度で男女共々から大人気。
…………何このリア充死ねばいいのに。
と、僕は常々思っている。
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