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多少の波紋を起こした千鶴先生と僕だったが、その後のホームルームの進みようは軽やかだった。
簡単な連絡事項等を伝え終えた千鶴先生は、続いてクラスメンバーの自己紹介をしていくように促した。
「それじゃ~みんなで自己紹介をしてください。一人ずつ前に出て、簡単な挨拶をお願いします~」
それに頷くクラスの奴ら。
取り敢えず、全部聞き流すことが確定した。
クラスの奴らが一人一人教卓に立ち、挨拶をしていく。
全てモブキャラだ。覚える価値すら無いな。
「え~と。東雲晃です! 知ってる奴も知らない奴も、一年間よろしくな!」
む。この声は晃か。
外を眺めていた僕は、うっかり晃の方へと顔を向けてしまう。
目が合った晃はニヤリと笑い。
「今年の目標はとある友人に現実を見てもらい現実を生きてもらうこと! みんなも協力よろしく!」
なんてことを言いやがった。
なんだよ、とある友人とか。現実を見ろってことは僕に散々言ってきている。
つまり、これは僕に宛てての言葉なのだ。
挑戦状か……お前は即刻死んで世界の二酸化炭素を減らすことに努めろ。
晃は自信満々に席へと戻っていく。
僕はずっと晃を睨みつけていた。
その後もモブキャラ共が自己紹介を済ませていく。
気付けば僕の番となっていた。
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