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「それでは皆様、ご唱和下さい! 俺達が『せ~の』と言ったら、全員で『リア充は爆死しろ!』と!」
どんな締め方だよ。
最低じゃねぇか、猪木の方がまだマシだよ。
晃はノリノリでマイク越しにみんなに呼び掛けている。
何故か玉乃井もノリノリだった。
どういう状況だよ……。
僕が置いてけぼりを喰らっていても、晃も玉乃井も止まる気は無いらしい。
「それじゃ! いくぜ~……せ~の!」
もういくのかよ!?
まだお前達のノリに追い付いてませんけど!?
内心で舌打ちをしまくって、僕はもう勢いに任せることにした。
それ以外に方法が無さそうだからな。
「「リア充は爆――!」」
「神無木ぃぃぃいぃいっ!」
僕と玉乃井が声を揃えて叫んでいる最中、いきなり放送室内に無粋な怒声が響き渡った。
慌ててそちらを振り返ると。
「お前達は何をしとるんだぁぁあ!」
生徒指導のプロ。
体育教師のゴリ山(森山)がそこに立っていた。
放送室の扉を開いて――……んん!?
「はぁぁあ!? 馬鹿な、ゴリ山どうやって此処に!?」
当然ながら叫ぶ僕。
だってそうだろう?
放送室の鍵は晃が盗み出したし、マスターキーは玉乃井が権力を行使して持ち出している。
つまり、この放送室への侵入は不可能なはずなのだ。
疑問をぶつけられたゴリ山は眉間に皺をよせながら、律儀にそれに答えた。
「誰がゴリ山だ! どうやるも何も……鍵は空いていたぞ?」
…………なん、だと?
晃は鍵を掛けていた。
僕も確認したから間違い無い。
そしてその後、玉乃井がマスターキーで放送室に入っ――!
「おい……玉乃井」
「何や」
偉そうにするな。
お前、容疑者というか犯人確定要素がありすぎる。
「……鍵、締めたか?」
「…………ん~?」
ゴリ山の見守る中、玉乃井は可愛らしく首を傾げて何かを思い出そうとしている。
そして――。
「てへっ☆」
舌を出して可愛らし――違う、憎たらしく笑いやがった。
「玉乃井ぃぃぃぃいい!」
†
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