4305人が本棚に入れています
本棚に追加
風に揺らされて、桜の花びらが散っていく春に、僕は高校二年生になった。
クラスの面々が多少変わり、新しい一年が幕を上げる。
学年が上がり、新生活が始まることにウキウキしている……というような感覚はまるで無いが、浮き足立つような雰囲気の教室に居れば、それは否応なく伝わってきた。
だが、僕には関係ない。
何故なら、僕は今……クリスマスイベントの準備で大忙しだからだ。
『ねぇ、あんた……クリスマスって予定あるの?』
春になったばかりなのに、クリスマスは気が早くないか? そんなことを思う奴は僕と関わるな。
住んでいる世界が違いすぎる。
『いや……特に予定はないけど』
『でしょうね。だったら……その、わ、私と――』
僕の世界は今、肌寒さを感じる冬真っ盛りだ。
クリスマスを前にソワソワしているのだ。
『え、何?』
『だから! 私が相手してあげるって言ってるのよ!』
僕の目の前では、金髪碧眼ツインテールの小柄な美少女が、頬を赤らめながらそう叫んでいた。
くくく……貰ったな、後は流れに身を任せるだけだ。
勿論、返事は――。
『うん。嬉しいな、小雪さんが誘ってくれるなんて!』
これに限る。
小雪はまた頬を真っ赤にさせながら。
『勘違いとか止めてよ!? 私はただ、あんたがクリスマスを寂しく過ごすのが可哀想なだけなんだからね!』
『う、うん! 勘違いなんてしないよ。僕と小雪さんじゃ、釣り合いもしないからね』
『……ちょっとくらい、勘違いしなさいよね、鈍感』
ツンデレを頂きました。
ちなみに最後の方は聞き取れないくらい小声だからね?
最初のコメントを投稿しよう!