放送室は占拠しました。

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という感じでイベントは強制的に終了。 僕達は即生徒指導室送りとなり、あろうことか今まで拘束されていたのだ。 ゴリ山、マジで半端無いな。 生徒指導室にはひっきりなしに教師が怒りに来るし、千鶴姉には泣かれるし……散々な結果である。 イベントは無事に終わったが、到底、お後がよろしいようで……とかは言えなかった。 「まぁ噂は何とかなりそうな感じだし、良かったんじゃね?」 「まぁな。これでリアルから解放されると思うと踊り出したいくらいだよ」 「うちは報道部員やのに……」 いつまで引きずるんだよ、玉乃井。 過ぎたことは仕方ないんだから。 結局。 僕は自宅謹慎3日。 玉乃井と晃は反省文という処罰が下された。 多分、千鶴姉には家でまた怒られるな。 多分泣きながら。 しかし、自宅謹慎はありがたい。 最近、ゲーム出来てなかったからな。 ここで一気に『恋歌』を片付けてしまおう。 と、『恋歌』である人物を思い出す。 進藤だ。 あいつの告白、どうしたものか……。 せっかく腐ったイベントを片付けたのに、またしてもややこしいイベントが発生してしまった。 しかも、多分ゲームとかなら共通ルートであろうこの時期に告白とはな……僕の世界でも滅多に無いぞ、こんな展開。 僕は大きな溜め息を吐き出して、空を仰ぎ見る。 イベント前に見上げた空には呑気な雲が漂っていたが、今は雲一つ無い。 あるのは、黄昏色に染まった空だけだった。 少しだけ気持ちいい。 隣を見ると、玉乃井も晃も空を見上げていた。 「ありがとう」 不意に僕の口から飛び出したのは感謝の言葉。 多分、無意識だった。 顔が熱い。 きっと僕の顔は赤くなっているだろうが、夕陽の光に助けられ、そこまでは目立たないはずだと信じたい。 玉乃井と晃はニヤリと笑い、 「どういたしまして」 とだけ口にした。 頼むから、どや顔だけは止めろ。 せっかく気持ち良く終われそうなのに、むかついてしまうだろうが。
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