親友の為に

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† 「お前さ、なんかうざいんだけど」 「そうか。悪かったな」 「……そういうところがうざったいんだよ」 「生まれて今までこんな調子なんだ。別に、お前に迷惑はかけてないだろう?」 「はっ……苦労したんだろうな。今までお前と関わってきた奴は」 「……どうかな」 「友達も恋人も、いや恋人以前に好きな人も出来たことないんだろ? いつもいつも独りで、本ばっか読んでるようなお前みたいな奴に。家族も苦労してるだろうな」 「――肯定すれば満足か? 東雲、だったか?」 「満足以前に、否定出来ないんだろ? 神無木」 「……いたよ」 「はぁ?」 「いたよ……好きな人が。誰よりも何よりも、自分よりも大好きな人が――だけど」 「だけど、なんだよ?」 「もういない。僕には、もう……誰もいないんだよ――」 † 屋上へと向かう間、頭に浮かんだのは啓介と俺が交わした、最初の言葉だった。 中学二年の時、俺は啓介と出会った。 入学して二年目、ある程度仲良しのグループは出来上がってたし、啓介が孤立するなんて予想がついていた。 それでも『転校生』というものは注目を浴びるものだ。 死んだような瞳と陰鬱なイメージを与える髪型を除けば、啓介はいい顔立ちをしてたから、やはり最初はみんなに構われていた。 †
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