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最近の啓介の変化は著しい。
他者と関わる機会も増えたし、何よりも……啓介を気にかける女だっている。
花村に玉乃井さん、多分……名前は忘れたけど後輩の女の子。
誰も彼もが美少女ばかり。
だけど、啓介はまるで関心が無い。
だけど、それは仕方ない。
だって――。
今の啓介を作り上げたのは――。
俺以外の誰でも無いんだから。
大きな溜め息を吐き出した直後、いきなり屋上の扉がノックされた。
別にノックは必要ないんじゃないか?
とも思ったけど、一応、反応を示しておく。
「はいはい~どちら様ですか?」
「あ、私」
「……?」
聞いたことのある声だった。
というか間違いないな。
俺は立ち上がり、扉を開く。
そこに立っていたのは、予想通りの女の子だった。
「桂木、屋上にノックは不要だと思うぜ?」
桂木は「うっ……」と言葉を詰まらせ、俯いてしまう。
その仕草が何だか可愛らしい。
普段の桂木からは想像出来ない仕草だったから。
「何も無いけど、あがってく?」
「お、お邪魔します」
†
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