親友の為に

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その後も何戦か晃と対戦したが、結果は決まって僕の敗北だった。 どれだけ本気で練習してきたんだよ、お前は……。 今は今で、懐かしのパズルゲームに熱中している。 今回はなかなかいい勝負だ。 頭脳ゲームではこいつに負ける気がしないな。 「あぁ、そういえばさ、啓介」 「何だ?」 画面から目を離さないまま、晃の呼び掛けに応える。 「今日、花村と玉乃井さんがお前の家を尋ねてきたけど、断っといたから」 「へぇ、それは助かる。いやまぁ、教えていたらお前の命は無かったけど」 「相変わらず辛辣だな」 ピコピコピコ……。 沈黙。 部屋の中に響くのは単調な機械音だけ。 集中集中、負けるわけにはいかないからな。 「あ、それからさ」 「何だよ……無駄口叩ける状況か? お前負けるぞ?」 「いや、負ける気はないって。俺さ……好きな奴が出来たから」 「へぇ」 何を言い出すかと思えば下らない。 別にお前に好きな奴が出来ようが――……ん!? 「マジか!?」 「マジマジ。あ、啓介ミスしやがった」 「いやいや落ち着いてる場合か!? お、うわ、負けたぁぁぁあ!」 「はい、俺の勝ちな!」 くそ! なんか悔しい。 というか動揺してしまった僕が馬鹿みたいだ!
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