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「卑怯な奴、相手の動揺を誘うとはな……」
「別に誘ったわけじゃないけどな。まぁ、好きな奴が出来たのはマジだ」
「ふぅん……良かったな」
晃の奴、ようやくそういう女が出来たのか。
いいじゃないか、今まで僕に構っていた分、そいつに夢中になってくれれば最高だ。
相手は……何となく想像がつくな。
「で、相手は桂木か?」
「うぇっ!?」
僕の一言にひどく慌てる晃。
何というか、反応がベタ過ぎてつまらない。
「何で、分かる?」
「お前な……仮にも親友だろうが。晃のタイプとかは把握してるし、桂木はそれに当てはまる。別に驚くようなことじゃないだろ?」
「あ~……なるほど」
晃はそう呟くが、照れているのだろう。
顔が赤い。
「で? 晃はわざわざそれを報告にきたのか?」
「まぁ、な」
「下らん。僕に告白する暇があるならさっさと桂木に告白すればいいだろ?」
「や……けど、いいのか?」
……何が?
告白すればいいだろ。
僕はお前の親じゃないんだから、文句とか何も無いって。
「いいも何も、好きにすればいいだろ」
「あぁ……そうだな」
晃は僕の言葉に、どこかショックを受けたように感じられた。
僕からすれば、暗い顔で俯く晃の真意が掴めない。
桂木も、晃が好きなのだ。
この状況は彼女にとって最高だろう。
恋愛相談を引き受けていた都合上、これは僕にしても喜ばしい状況だ。
「晃、お前の好きにすればいい。僕に、構い過ぎるなよ」
「――っ! だけど俺は……や、何でもない。さて、帰るわ」
「ん? ああ、分かった。次は負けないように精進しとくさ」
「どうだか? また負かしてやるよ!」
「うざっ!」
†
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