親友の為に

23/33
前へ
/246ページ
次へ
「卑怯な奴、相手の動揺を誘うとはな……」 「別に誘ったわけじゃないけどな。まぁ、好きな奴が出来たのはマジだ」 「ふぅん……良かったな」 晃の奴、ようやくそういう女が出来たのか。 いいじゃないか、今まで僕に構っていた分、そいつに夢中になってくれれば最高だ。 相手は……何となく想像がつくな。 「で、相手は桂木か?」 「うぇっ!?」 僕の一言にひどく慌てる晃。 何というか、反応がベタ過ぎてつまらない。 「何で、分かる?」 「お前な……仮にも親友だろうが。晃のタイプとかは把握してるし、桂木はそれに当てはまる。別に驚くようなことじゃないだろ?」 「あ~……なるほど」 晃はそう呟くが、照れているのだろう。 顔が赤い。 「で? 晃はわざわざそれを報告にきたのか?」 「まぁ、な」 「下らん。僕に告白する暇があるならさっさと桂木に告白すればいいだろ?」 「や……けど、いいのか?」 ……何が? 告白すればいいだろ。 僕はお前の親じゃないんだから、文句とか何も無いって。 「いいも何も、好きにすればいいだろ」 「あぁ……そうだな」 晃は僕の言葉に、どこかショックを受けたように感じられた。 僕からすれば、暗い顔で俯く晃の真意が掴めない。 桂木も、晃が好きなのだ。 この状況は彼女にとって最高だろう。 恋愛相談を引き受けていた都合上、これは僕にしても喜ばしい状況だ。 「晃、お前の好きにすればいい。僕に、構い過ぎるなよ」 「――っ! だけど俺は……や、何でもない。さて、帰るわ」 「ん? ああ、分かった。次は負けないように精進しとくさ」 「どうだか? また負かしてやるよ!」 「うざっ!」 †
/246ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4305人が本棚に入れています
本棚に追加