親友の為に

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晃が現れた自宅謹慎初日以降、僕は快適な謹慎生活を楽しんでいた。 課題は全て終わらせ(意味不明な数学以外)、二日目、そして最終日も僕は僕の世界へと浸っていた。 因みに、千鶴姉はどうにか僕の貞操を奪おうと躍起になっていたが、僕はそれを全て防いだ。 鉄壁である。 千鶴姉はひどく残念そうだったが、僕からすれば自分の教え子の貞操を奪おうとする彼女の存在が残念で仕方なかった。 進藤から借りていた借りていた『恋歌』は全キャラを攻略。 抵抗があった新聞部のキャラや後輩キャラも何とかクリアした。 全体的に、進藤の言う通り名作だった。 攻略、CG回収もコンプリートしたことを進藤に告げると、 『後輩キャラもやりましたか? 後輩にハァハァしましたか? 私ならいつでも(以下略)』 的なメールが着たので無視しておいた。 誰がハァハァするか。 このゲーム、別にエロゲーじゃないからな。 明日から、僕は学園生活に復帰する。 花村や玉乃井から学園の様子を聞いたところ、特に問題は無さそうだった。 一安心である。 ゴリ山に提出する課題、数学について調べてみたが……あれは高三で習う範囲だった。 誰が解けるか、馬鹿野郎。 「暇だな」 『恋歌』攻略を終えた僕は、仕方なしに晃に負けた格闘ゲームを特訓していたが……。 「こういうのは、相手がいるから面白いんだよなぁ」 そんな結論に至った。 熱中しようとしたが、晃と対戦した時のような熱はまるで現れない。 負けてもいいから、晃でも誘うか……。 そんな考えが浮かんだとき、ベッドの上に投げ捨てていた携帯が震え出す。 着信音からして、これがメールではないことは明らかだった。 「晃か? なかなかいいタイミングじゃないか」 よし。 せっかくだから誘ってやろう。 晃と決めつけ、僕は表示されていた相手の名前も確認せずに、通話ボタンを押した。 「晃! 再戦だ、今すぐうちに来い」 「よし! 任せな!」と、返事が来ると思っていたが、そんな返事は無かった。 代わりに流れるのは沈黙。 そして。 嗚咽だった。
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