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「……晃は、何て、言ったんだ?」
何故か、僕は嫌な予感がしていた。
中学時代、何度もあった、何度も言われたあの言葉。
神無木のせいで――!
それが、脳裏によぎる。
そして、桂木は口を開いた。
『東雲、俺には、け、啓介がいるからって、そう言って……私から、に、逃げ――』
ああ……。
そうか、やっぱり、あの馬鹿野郎。
ふざけやがって……。
ふざけやがって……。
ふざけるなよ――!
『神無木との約束が、あるからって!』
「……約束?」
『神無木が、リアルで恋をするまで、彼女、作らないって……えっ、うぇ……ねぇ、どうしよう、私、私!』
「そんな約束――とっくに、僕は忘れてるんだよ、あの大馬鹿野郎が!」
『――っ!』
「ふざけろ! あの馬鹿、あぁ! くそ馬鹿野郎が! 桂木、お前は悪くないし、お前の行動は正しい。悪いのは全部……僕と晃だ。だから任せろ、僕があいつの――目を覚まさせてやる!」
『か、神無――!』
僕は怒りに任せて通話を断ち切る。
やることが出来た。
言うべきことが出来た。
あの馬鹿を、どうにかしてやる理由が出来た。
リアルでは無力な僕だけど、きっと――。
「晃の馬鹿をどうにかするぐらい、僕にだって……」
いや、僕だからこそ。
「出来るはずだ」
だから、行くんだ。
†
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