共通ルート エピローグ

2/8
前へ
/246ページ
次へ
あれから。 言うまでもなく自宅謹慎最終日から、少しだけ時は流れた。 僕は何事も無かったように学園に復帰したかったのだが、周りはそれを許してはくれなかった。 簡単に言うと、視線が痛すぎた。 完璧に晒し者状態。 更に玉乃井の馬鹿がでしゃばり、僕を題材にした学園新聞を発行。 そのせいで、僕は常に好奇の的となってしまっていた。 まぁ、人の噂も何とやら。 僕は昔に戻り、ひたすらに僕の世界を堪能している内に、何時の間にかほとぼりも冷めていた。 花村は未だに僕に絡んできているが、最近は対応が面倒で仕方無い。 あぁ、晃と桂木は付き合いだした。 無事、ハッピーエンドになったのだが、いかんせん……バカップルで痛々しい。 僕の世界は相変わらず愛に満ち満ちている。 だけど、リアルの僕を囲う世界は少しだけ変わったようだ。 そんなことに気付いた今日この頃。 季節は短い春を終え、梅雨を過ぎ、夏を迎えようとしている。 もうすぐ夏休みだぁぁぁっ!! そんな馬鹿みたいな発想はまるで無い。 夏休みも何も関係なく、僕は自分の世界に没頭するだけなのだから。 だいぶリアルから遠ざかることに成功した僕。 だが、そんなリアル逃亡者にも逃れられないイベントがこの世には存在しているのだ。 リア充共が気持ち良く夏休みを満喫するには避けて通れない道。 そう。 期末テストである。 かく言う僕も、それは避けて通れない道である。 よって、僕は僕の世界を一時的に封印してまで勉学に打ち込んでいるのだが――……。 「あかん! 何や、この意味分からん英文は! そもそもうちらは日本人なんやから、英語を理解する必要とか皆無やん!」 「あ、玉乃井さん。そこはね……」 「ん? おぉ……お~!? なんや、花村香澄、教えるん巧いなぁ!」 「え? そ、そうかなぁ」 「あ、舞。これってどう解くの?」 「ん~? あ、ここはね……」 何かがおかしい。 因みにここは学園じゃない。 ここは僕の部屋なのだ。 何故、こんなにも大勢の人間の言葉が僕の耳に届くんだよ。 おかしすぎるだろうが。
/246ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4305人が本棚に入れています
本棚に追加