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と。
そんなやり取りを経て今に至ったわけである。
室内には花村、桂木、玉乃井とくそ晃が既に滞在していて、千鶴姉の持ってきたお茶とお菓子を食べながら勉強をしている。
僕は勉強していない。
何故なら進藤がまだ姿を見せていないからだ。
携帯に連絡があるはずと思い、携帯とにらめっこをしている最中だ。
もしかしたら来ないかもしれないな……。
僕と進藤は、最近微妙な距離を保ち続けている。
というよりは、僕が進藤を避けているのだが。
告白の返事を未だにしていない気まずさが、僕にはあるわけだ。
だけど進藤は変わらず接してきている。
それが何だか辛かった。
連絡は無いと判断して、携帯を手放した瞬間――携帯が鳴った。
相手は、進藤だった。
僕は溜め息を吐き出して、通話ボタンを押した。
「もしもし?」
『あ、啓介先輩ですか? 家に着いたんですけど……』
「あ、あぁ。ちょっと待っ」
『それにしても先輩?』
「ん?」
『一人暮らし、にしては立派な一戸建てですね? 私、びっくりしちゃいました』
「っ――!?」
しまった。
進藤に、僕は……一人暮らしと嘘をついていたのを忘れていた。
やばい……進藤が夜叉になっている姿しか思い浮かばない。
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