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こいつの犯した間違いは一つだけ。
僕と友人ということだろう。
自他共に認める二次元大好きな男だしな、まぁ精々、晃の汚点として生き続けてみよう。
「たく……啓介、いい加減に現実を見ようぜ?」
「お前死にたいのか? たった今、お前は僕の現実を破壊したぞ。せっかく小雪と両想いになれそうだったのに」
既に電源を落とされ、沈黙を保つゲーム機を晃から取り返した。
起動してみたが、スリープモードになっていたという奇跡は起きない。
しっかりと小雪との日々が削られていた。
「晃、僕と小雪の時間を返せ……」
「だから……前にも言ったが、その小雪って女の子はゲームキャラであって、その子が恋に落ちてるのはお前じゃなくてゲームの主人公だ! 決してお前じゃない!」
「何を馬鹿なことを。小雪は僕が好きなんだ。強いて説明してやるなら主人公=僕だぞ?」
溜め息混じりに説明してやると、晃は口端をひきつらせたまま、僕の机の上にあったゲームの説明書を取り上げた。
「主人公、橘圭一。困った人を放っておけない性格で、自分より相手を優先する優しい少年。女性から好かれるが全く気付かない鈍感さがネックである」
晃はゆっくりと主人公のプロフィールを読み上げていく。
何がしたいんだ、馬鹿なのか?
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