オタク、リア充を目指す!?

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因みに。皐先輩とは、僕のしているゲームの新規参戦ヒロインである。 元々PCゲームだったこの作品『雪空の中で』が携帯ゲーム機に移植された際に加わったヒロインなのだ。 PC版でもサブヒロインとして存在はしていたが、当然ながら攻略は不可能だった。 才色兼備で生徒会長まで務める彼女が攻略出来ないのはおかしい! そんな意見が多発して、ユーザーの意見を取り入れた形で今に至っている。 勿論、僕も非常に期待をしているわけだ。 小雪も好きだが、皐先輩は大和撫子を想わせる雰囲気を持っている。 現実には大和撫子なんて存在しないであろう今、僕の世界では大和撫子が存在している。 彼女を通して、女の子の真髄を学ばせて頂こう。 そんなことを思いながら頷いていると、晃は含みのある微笑みを浮かべながら僕から離れていく。 こんな台詞を残して。 「まぁいいさ。放課後、お前は俺と一緒に親睦会に参加することになる。間違いなくな!」 うわぁ、超絶鬱陶しいわ。 リア充はリア充同士でワイワイペチャクチャイチャイチャしてろ。 僕は僕で小雪とか皐先輩とイチャイチャするから。 「……しまった。くそ、晃のせいで時間切れじゃないか」 時計を見上げた瞬間に響き渡るチャイムの音。 開かれる教室の扉。 そして現れたのは――! 「はい。みんな~席に着きなさいよ~」 独特の間延びした言葉を話す女性教諭。 矢野千鶴先生だった。
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