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新任教師である彼女は若く可愛らしい。
実年齢よりも若く見える外見は、下手したら高校生以下にも間違えられてしまいそうだ。
背も低い、童顔、栗毛色の髪は短く、元気なスポーツ少女のようである。
当然、男子からの人気は高い。教室から響く歓喜の雄叫び。
よく見れば、晃もガッツポーズをしていた。
女子も友達感覚で関われる千鶴先生が担任で嬉しいのだろう。
みんなが拍手していた。
正確には僕以外の奴らがな。
僕は千鶴先生の登場と同時に、一度スリープモードにしていた携帯ゲーム機を再起動。
イヤホンを着けて小雪と向かい合っていた。
担任が千鶴先生なら楽勝だ。僕はこの一年、学園でもゆっくりとゲームが出来る。
「む~……」
気付けば千鶴先生が僕の前に立ち、頬を膨らませて立っていた。
「……何か用ですか?」
「何か用ですか? じゃないよ~! 啓くん、私の話をちゃんと聞きなさい!」
馬鹿野郎。
学園内で啓くんとか呼ぶな。
あ~……ほら見ろ。教室内がフリーズしてるじゃないか。
「あの、先生」
バグから立ち直った男子の一人が、おずおずと千鶴先生に話し掛ける。
「その、オタ介……じゃなくて神無木と知り合いなんですか?」
オタ介って僕のことか?
ネーミングセンスが無さ過ぎやしないだろうか。
なんだか蛙の子供みたいなあだ名だな。
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