オタク、リア充を目指す!?

9/24
前へ
/246ページ
次へ
新任教師である彼女は若く可愛らしい。 実年齢よりも若く見える外見は、下手したら高校生以下にも間違えられてしまいそうだ。 背も低い、童顔、栗毛色の髪は短く、元気なスポーツ少女のようである。 当然、男子からの人気は高い。教室から響く歓喜の雄叫び。 よく見れば、晃もガッツポーズをしていた。 女子も友達感覚で関われる千鶴先生が担任で嬉しいのだろう。 みんなが拍手していた。 正確には僕以外の奴らがな。 僕は千鶴先生の登場と同時に、一度スリープモードにしていた携帯ゲーム機を再起動。 イヤホンを着けて小雪と向かい合っていた。 担任が千鶴先生なら楽勝だ。僕はこの一年、学園でもゆっくりとゲームが出来る。 「む~……」 気付けば千鶴先生が僕の前に立ち、頬を膨らませて立っていた。 「……何か用ですか?」 「何か用ですか? じゃないよ~! 啓くん、私の話をちゃんと聞きなさい!」 馬鹿野郎。 学園内で啓くんとか呼ぶな。 あ~……ほら見ろ。教室内がフリーズしてるじゃないか。 「あの、先生」 バグから立ち直った男子の一人が、おずおずと千鶴先生に話し掛ける。 「その、オタ介……じゃなくて神無木と知り合いなんですか?」 オタ介って僕のことか? ネーミングセンスが無さ過ぎやしないだろうか。 なんだか蛙の子供みたいなあだ名だな。
/246ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4304人が本棚に入れています
本棚に追加