司会者るくみるの場合。

2/2
前へ
/2ページ
次へ
照明が落ち、誰もいないステージにスポットライトが当たる。 ざわついていた会場が、すうっと静まって……いかない。 うるさい。 みんな、食べ物が見えにくくなってもまったく気づかないの!?( ̄▽ ̄;) ピキッ……(血管破裂音) すうぅぅ…… 「おんどりゃあ静かにせんかい、うるさいんじゃワレ~!!!!!!!!!!!!!!!」 キィィィーーン!! ………… 見事なハウリング音が場内に響き渡った。 よし。 静かになった♪ あたしは左手に握るマイクを、再び口元へ。 「えー、本日は…………ん?」 ……マイク壊れとる(゜▽゜) ま、いっか。 使えない商売道具を投げ捨てると、足元のほうで「ギャッ!!」と悲鳴が聞こえたような……でも、無視無視。 ステージの脇で、あたしは大きく息を吸った(もちろん腹式呼吸♪)。 「本日は、お集まり下さいましてまことにありがとうございます。 ワタクシ、はなび親分から司会を仰せつかりました、純愛大好きるくみると申します」 気休めの拍手がパラパラと浴びせられる。 「なにあのおばさん? 後ろにチビふたり隠してるし」 すぐそこで飛んだ囁きに壇上のペンをシュッと投げつけ、黙らせる。 「では早速、このパーティの主催者であり、本日1番の主役でもあるはなび様より、開会のご挨拶を……」 と、後ろを振り返る。 もうスタンバっているはずの親分の姿が、ない!!(゜▽゜) すうぅぅぅ………… 「おやぶ~~~~ん!!!!!!!!!!」 あたしの見事な腹声が、会場の空気すべてを飲み込んだ。 みんな耳を押さえてうずくまっている。 足元にはかわいらしい乙女が転がっている(この子誰だろう?)。 そのとき、扉がパアンと開け放たれた。 そこから現れたのは……!?
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加