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「眠っ…、まだ8時かよ」
イヤホンの上からうるさい金属音アラームに起こされる。
どうせなら甘い音で目覚めたかったと後悔する、毎日のことだ。
既に学校に行かなければ遅刻するかもしれない時間なのに、夏野は瞼を開けない。
ベッドに横たわったまま、相対性理論の「さわやか会社員」に全身の知覚をゆだねる。上手いとは言えないが、自然と心拍数が安定していく…。
ベッドから起き上がりキッチンへ行き、口をすすいだら、冷蔵庫から昨日買っておいたスタバのミラノエスプレッソを取り出し、一気に飲み干す。毎日のことだ。しかし、たまにGOKURIのグレープフルーツと迷うこともある。
8時18分
「行ってきまーす…」
返ってくる声は無い。
まだ気だるさを残しつつ、支度をして住んでいるマンションを出る。
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