「逆転が━る」

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「大奥の女中みたいに深々と土下座しなよ。あはは」 昼休みの第2図書室。ひんやりとした床に、百々子は額をつける。 少しの沈黙ののち、百々子の後頭部にびちゃびちゃと音がする。 生温い液体が後頭部から耳、頬を伝い流れる。 ああ、花瓶の水をこぼしてるんだと百々子は想像する。 髪をどこで乾かそうかと思案する百々子は笑っていた。 イジメを受け始めた頃から百々子は携帯サイトに小説を投稿していたのだ。 毎日受けるイジメを克明に書き込み、衝撃の結末も書いた。 その小説が高い評価を受け、来年には書籍化される運びとなったのが今朝だった。 花瓶の生温い水にまみれながら、「これもエピソードになる」と思う百々子は満面の笑顔だ。 「顔を上げてみな!」 百々子の頭は小刻みに震えていた  (完)
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