「疑い」

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ユリの瞳を見返すことができないのは、ミズキにとってユリが先輩だから…だけではない。 新体操部に入部したのは、美しく舞うユリに憧れたからなのだ。 その憧れのユリから、たとえ呼び出しであっても、ミズキには眩しい存在なのだ。 次の瞬間、ユリ先輩の言葉にミズキは我が耳を疑った。 「ミズキ。あんた…2年生の男子から人気ナンバーワンみたいだけど…調子に乗ってない?」 「え!?わ、わたしがですか?ま、まさか!」 「とぼけないで。体育館でうちらの練習中、いつも野球部やサッカー部の男子たちが外から覗いて騒いでいるでしょう」 確かに、練習中にわめいたり笑ったりする男子達の声が聞こえる時がある。 しかしそれは、男子達のお目当てはユリ先輩なのだろう、とミズキは思っていたのだ。 「ミズキ。あんたが平均台で基礎練をするだけで、男子が喜んでるの、気づかなかったの?」 「はい」
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