01.魔導師の卵

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結局あの後は何事もなく、大方の買い物を終わらせ、全て学園の寮に送った。 そして、買い物も残すところあと一つとなった。それは… 「アルバ…魔道具店?」 最後の目的地はメインストリートより少し離れた、個性的な魔道具店だった。 個性的、と言うのも、外観はとにかく黒く看板はボロボロ。 扉の取っ手だけがくすんだ金色になっていて、と、まぁ見たまんま雰囲気が怪しいからだ。 本当にここ、大丈夫かなぁ? 「ねえ、他のとこの方が…」 「ここで問題ない」 いいんじゃない?と言いたかったのに、グレイスはアタシが言いきる前に扉を開けてしまって。 しかも迷いなく入っていったから、アタシは内心うなだれながら中に入った。 中に入れば、外観同様ほとんどが黒く、まだ午前中だというのに薄暗かった。 ざっと見渡して目につくものと言えば、カウンターとその奥の人影だけ。 どうやら、よく言えば至ってシンプルな造りらしい。 「おや、お客さんですか?珍しいですねェ」 と、奥の人影がアタシ達に気づて声をかけてきた。 普通の人とは少し違う、独特な口調と雰囲気。 なんと言うか、店内の雰囲気と同じく、店員さん(仮)もヤバそうな臭いがする。 なのにグレイスは気にせずスタスタと店員さんに近づいて行って。 止めるタイミングを失ったアタシも、仕方なくグレイスについて行った。
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