生きるということ

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看護師の口から患者の名前は聞かれなかった。 なぜなら名前をいう必要がないからだ。 名前で治療が変わることはない。必要なのは医師の指示。 それに必要な既往歴、病歴、状態だけが次々と看護師から説明される。 またその名前を覚える必要がない。「あの脳出血起こした人」や「昨日転倒した人」というように病気で聞いたほうがはるかに覚えやすいからだ。 入院している人にはただ一日3回袋に入った栄養剤が胃管(胃に作られた管)から定期的に入れられる。 ただそれだけ。 味は不要。一日決められた栄養が体に入れば人間は生きることが出来る。
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