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グラウンドへ着くと、既に九条が居て生徒も整列していた。最後に来た洋八は一番端に並んだ。と、ここで始業を知らせるチャイムが鳴った。リュックサックを背負って全力疾走した洋八は息を切らしている。
「おや、洋八君…。遅れなくて良かったですねぇ…?」
九条は妖しい笑みを浮かべてこちらを見ている。もし遅れていたら何かをされていたのではないかと考えたらゾッとする。
「今日は洋八君も居るので細かく注意しましょう。一応結界は張ってありますが暴れ過ぎないこと。死人を出さないこと。…以上です」
「終わりかい!!」
思わず突っ込んでしまった洋八だが、『死人を出さない』とか物騒なことについては問題ないのだろうか。…若干洋八の顔が青褪めている。
「それでは…開始」
この声を合図に生徒達はグループになったり独りになったりと行動を始めた。洋八はまず様子を見ようとその場に残る。つもりだった。
「ねぇ…洋八くぅん…、よかったら、お手合わせ願いたいんだけどぉ」
遠くを見ていた洋八は、目の前に現れた人物に焦点を合わせる。
「え…と…、誰…?」
目が合った瞬間、洋八の胸はドキリと音を立てた。
…こんな子、クラスに居たっけ?
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