第一話【君もその一員】

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──── グラウンドの隅っこに着くと、謎の美少女はウォーミングアップを始めた。屈伸や跳躍をする度にスカート翻り、なかなか際どい。洋八は彼女の方を見ないようにして準備運動をした。 「洋八くんって、確か能力が分からないのよね?武器くらいは持ってるかな?」 「……………ああ、一応持ってんで」 そう言うと、リュックサックを下ろして中身を漁り、未来の道具を出すような効果音で何かを取り出した。 「テレレテッテレ~っ!!ハリセン~」 濁声の洋八が高々と掲げたのは、銀色に輝く、一般的なサイズのハリセン。当たったらものっそい痛そうである。ツッコミ道具の割には笑えない。 「うふふ…面白い武器ねっ。じゃあ私はコレ!!」 彼女が何処からともなく取り出したのは、竹刀。それを構えると、手加減しないでね?と可愛らしく微笑んだ。 洋八は一瞬躊躇いを見せたが、しっかりとハリセンを片手に握り締めた。掛かって来い、と好戦的な笑みを向ける。 謎の美少女は答えるように頷くと、一瞬で間を詰めて面を狙った。 洋八は軽々とハリセンで受け流す。そのまま斜めに振り上げ、彼女の顎に当たる寸前で止めた。
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