第一話【君もその一員】

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「…へへっ、俺の勝ちやな」 「なるほど、ね。能力は使えねぇみたいだけどなかなか強いじゃん!!」 美少女の声が、突然、聞き覚えのある奴の声に変わった。 彼女は竹刀を地面に置き、高速で回転し始めた。回転が止まると、そこにいたのは… 「ハッハッハ!!驚いたか!!正体は俺、金田だ!!さっきまでの姿は俺の能力、『変装』と『声帯模写』によるものさー…って…アレ?」 身振り手振りで、ドッキリ大成功ー!!というノリで話す静流だが、洋八は冷静に頷いていた。 「な…なんで驚かねぇんだよ」 「薄々気付いとったんや。勝負始める前に『確か能力が分からないのよね?』て言うたやろ?それを知ってんのはあの時会話に参加してた小さい子と賑やかな男女で、他の皆は外に出てた。 何より俺の記憶の中にさっきの美少女はおらへんかったしな。能力で姿を消してたか誰かの変装かって予想してたんや。 でも、ほんまに能力やったんやな、ちぃとびっくりしたで!!」 そういえば、『確か能力が~』の下りで洋八は妙な間を空けていた。その時に勘付いていたのだろう。 迂闊だった…と静流は地面に崩れ落ちた。 すると、その丸まった背中に白猫が一匹乗っかった。
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