第二話【てるてるボーイ】

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──── 修学旅行当日。天気は、梅雨にもかかわらず快晴である。 遥來学園2年生の生徒達は駅に集合し、今は引率の教師の指示に従い新幹線に乗り込んでいる所だ。 行先は、歴史深き趣のある都、京都。生徒達が歴史に興味があるのか分からないが、普段は行く機会のない場所へ行くのでそれなりにテンションは上がっている。 新幹線が発車した。向かい合わせの席にはそれぞれ事前に決めたグループごとに座っている。 既に寝てしまった者や、席を移動して他のグループを訪問する者や、カードゲームで遊ぶ者と、各々楽しんでいた。 洋八が属するグループは、静流、零、千心、湊、小愛持を合わせた6人だ。3人掛けの席に男女3人ずつ分かれ向かい合う。窓際へ座った零と小愛持は外の景色を眺め輪の中へ入らないよう努めている。 「なんかコンパみたいだねー!!」 湊が早速ハイテンションでそう言うが、零と小愛持は戦線離脱しているので4人のコンパになってしまう。しかし湊は気にせず興奮した様子で猫耳をピョコピョコさせている。 「ねーよ!!大体湊がいる時点でアウトぐはぁ!!」 静流は余計な一言を口走り顔面に湊の鉄拳制裁を食らった。 「こらこら湊さん、修学旅行なんやし暴力は禁止の方向で行こや?そんなことより、ババ抜きしようや!」 静流の顔がこれ以上哀れなことにならないように洋八がフォローを入れる。静流と湊と千心はそれに賛同した。 「なー、零君と小愛持さんもやろ?な?やろ?」 2人はかたくなに拒否し続けたが、千心が「みんなで楽しくやりたいのに…」と落ち込んだ所で、「仕方ないからやってやる」と口を揃えて言い、ようやく参加することになった。 「2人共、千心さんには弱いねんな…」 ────
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