817人が本棚に入れています
本棚に追加
専務の野望
明名物産
虎ノ門本社ビル35階
午後……
ニューヨーク、ロンドン取引の合間、束の間の静寂が訪れていた。
西日が半開きのブラインドの隙間から入り込み、デスクに幾何学模様の陰をつくる。
空調のせいか、その陰はゆらゆらと揺れていた。
祐司は立ち上がるとブラインドの隙間から外を眺めた。
相変わらずの首都高速の渋滞。
一面を埋め尽くす人工物。
密閉された高層ビル内は外部の音が完全に遮断されており、そのせいか無機質な異世界が眼下に広がっているように見えた。
(腹減ったなぁ)
遅めのランチに出掛けようと、半開きのブラインドを全閉にした。
最初のコメントを投稿しよう!