専務の野望

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専務の野望

 明名物産 虎ノ門本社ビル35階  午後……  ニューヨーク、ロンドン取引の合間、束の間の静寂が訪れていた。 西日が半開きのブラインドの隙間から入り込み、デスクに幾何学模様の陰をつくる。 空調のせいか、その陰はゆらゆらと揺れていた。  祐司は立ち上がるとブラインドの隙間から外を眺めた。 相変わらずの首都高速の渋滞。 一面を埋め尽くす人工物。 密閉された高層ビル内は外部の音が完全に遮断されており、そのせいか無機質な異世界が眼下に広がっているように見えた。 (腹減ったなぁ) 遅めのランチに出掛けようと、半開きのブラインドを全閉にした。
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